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★2023年12月13日公開動画 【膵臓がんステージ4】CT検査で再発の兆候があり、再検査になりました https //youtu.be/HWiTlm450ic?si=cV4RvjSQTLXQVDx8 (00 24~)血液検査の結果では、いつも肝臓の数値が高めなので、肝臓の数値を抑える薬を処方してもらい飲んでいる。主治医曰く、抗がん剤をやめてその数値が下がれば抗がん剤の副作用だったねということらしいので、これはそんなに気にすることはないということだった。 (00 55~)CTの結果では、膵臓の管が狭くなっている。この膵臓の管が流れなくなると糖尿病が出てきてしまうらしい。 (02 28~)CTの結果でちょっと気になる所が2箇所あった。1箇所目がもともと転移があった左鎖骨のリンパ節で、ここがちょっと腫れているんじゃないかと主治医が言っていた。(02 44あたりで画像を見せる) (03 49~)以前気になっていたおへその近くの場所は、もう見えづらくなってきている。ということはただの手術後の炎症だったんだろうということらしい。 (04 35~)こうへい「前からみずきのCTに腹水が映ってて、で先生がこれは腹水だねって言ってえ大丈夫なんですかて言ってたんですけど、その時はま女性は生理的にその腹水がちょっと出ることはあるからそんな気にすることはないっていうことだったんですけど(中略)今まであったのはちょっと体の後ろの方に見えてたんですね、だけど今回ちょっと画像出しますけど(ここで画像を見せる)なんか前の方にこの黒いのが腹水だと思うんですけど、この辺りに見えるっていうのがちょっと先生としてはあんまり通常ではないことじゃないかと、なんか膀胱の前まで腹水がきてるっていうのがちょっと不安要素(※)だとおっしゃってました」 (05 30~)こうへい「腹水が出てるってことはどういうことかっていうと、もしその転移っていうことで考えるなら腹膜播種ってことらしいんですね(テロップ「腹膜播種の可能性がある」)、まいかにも怖そうな名前なんですけど、で腹膜播種っていうのはよく聞くのでまちょっと心配だなと思ってるんですけど」 (06 01~)腹水を抜いて、その抜いた腹水を生検にかけてがん細胞が浮いているとしたら転移だということになるらしいので、その検査を今度することになった。 ★2023年12月14日公開動画 サニージャーニーさんの腹水と腹膜播種の悩ましい関係とは https //youtu.be/_MuCxPHoVZo?si=G5pe17ZPhG7kt6iq (※)宮崎善仁会病院 消化器内科 腫瘍内科 非常勤の押川勝太郎医師が発信した解説動画(01 50〜)により腸管内の空気(屁)であることが判明する。
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20090516(土) 20時~ NHK教育 名医に聞く【大腸がん】 罹患数 男:胃がん、大腸がん、肺がん 内視鏡治療、手術、再発 早期 大腸がん 大腸の長さ1.5~2m 粘膜、粘膜下層、筋層、しょう膜(筋層までいくと進行がん) 粘膜下層には血管、リンパ管などがあるため転移を考えると内視鏡は不利 がんのできやすい場所:直腸、S状結腸 (全体の70%) ●症状:血便、便通の変化、腹痛(イレウス) ●検査:便潜血検査、大腸内視鏡検査 ●内視鏡:2cm程度までの粘膜内がん がんの深さ:染色して模様で分かるようになった 浅い:模様はととのっている 深い:模様が複雑 エコーなどで深さを見る ポリペクトミー:内視鏡でくくって焼き切る 生食を入れて膨らませてくくって切る 出血、胃と比べて薄い(3~5mm)ので穿孔に注意 ●手術 結腸癌:癌から10cmの範囲を切り取る 周囲の血管、リンパ節をとる 直腸がん:骨盤内臓、神経に気をつける、括約筋 がんから2cm離して切る→肛門に近いと括約筋全体を切ることになる(ストーマ) 腹腔鏡:技術が要求 ●治療後の食生活 頻便、腹部ぼうまんかん 回復期:消化の良いもの、食事量をとりすぎない →うどん 消化の悪いもの 海草、キノコ類、こんにゃく 回復後:不溶性食物繊維 ほうれん草、にら、ごぼう、オートミール、ライ麦パン、納豆、大豆、ブルーベリー、キノコ類、こんにゃく 食事量をしっかり →便の量が増えて回数が減る ●再発時の治療 肝>>>>肺>>>脳など、腹膜播腫 局所再発:手術後の近くに再発 手術できる条件 3つ がんをすべて切除できる 臓器の機能が温存される 手術に耐えられる体力 ●抗がん剤 5FU←レボホリナートカルシウム(5FU増強) オキサリプラチン、イリノテカン 分子標的:アバスチン 薬の組み合わせ 投与、副作用のチェック2~3ヶ月 効果の判定 繰り返す、組み合わせの変更 FOLFOX、FOLFIRI FOFFOX+アバスチン イリノテカン+セツキマシブorセツキマシブ単剤 長時間の点滴ではポートを用いることもある(48時間必要など) 心臓の近く(又は上腕)にポートを置く 左鎖骨下静脈、上腕静脈 ポートの実際:左前腕 自由な時間が取れる→QOLの向上:日常生活の延長 風船みたいな感じで徐々に入る(高さの制限なし?) ●マルチオピニオン 60男 結腸がん 4cm 粘膜下層に1mm 手術:ガイドラインでは2cmまでが内視鏡 深さが1mmもしかしたらもっと深いかもしれない→リンパ 内視鏡:大きくても粘膜内、下層でも1mm以内と診断が重要 →分割切除 何回かに分ける(これも分割できるという診断が重要) 腫瘍内科医:ptに負担をかけない 大腸がんでは術前化学療法は行わないのが通常 EST内視鏡的粘膜下層剥離術→高度な技術が必要 スネアではなくて電気メスで剥離、切除する(引っ掛けるのではなく切り取る) →できるDr、穿孔 ※粘膜下層に1mm以上浸潤すると転移のおそれが高くなる 抗がん剤:早期がんには通常おこなわない リンパ節転移があるかどうか 正確な診断が重要:大きさ、形、深さ 来週も大腸がん
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放線菌とnocardiaは同じ属だが前者は好気性菌で後者は土壌の嫌気性菌。治療は放線菌がペニシリンでnocardiaがST合剤。 アクチノマイシンDは未分化な腫瘍の抗がん剤。Wilms、Ewing, leiomyosarcoma. 卵巣癌のchemoはプラチナ製剤が大ブレークスルー ALLのchemoはV(ビンクリスチン)P(プレドニゾロン)+アスパラギナーゼまたはM(メルふぁらん)P+アスパラギナーゼ
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アガリクス 日本名でカワリハラタケと呼ばれるキノコで、日本では人工栽培されている。1980年代にがん抑制作用が動物実験などで報告されて以来、人に対する抗がん効果に期待されている。免疫力や抗がん作用を高めるサプリメントとして近年注目されている。2006年「キリン細胞壁破砕アガリクス顆粒」に発がんプロモーション作用(それ自身が発がんを引き起こすものではなく、他の発がん物質による発がん作用を促進する作用をいいます。プロモーション作用がある物質をプロモーターといいます。一般的にプロモーターが消失した場合、イニシエーション作用を受けた細胞の増殖を促す作用も無くなると考えられています。 プロモーション作用を有するものとして、食塩等の食品も知られています。)があるとして、販売停止になったことにより、アガリクスに発がん性があるという認識が一時拡がったが、あくまでも発がんプロモーション作用があったのは「キリン細胞壁破砕アガリクス顆粒」だけであり、同時に調査をした他のアガリクスのサプリメントはこうした発がんプロモーション作用は認められなかった。
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チューブリン 参照もと: wikipedia いつだったかに読んだ文献たち 真核生物にあって、微小管や中心体を形成する。 主なものはαチューブリンとβチューブリンであり、 これらの二量体が更につながって、微小管を形成する。 若いころ、タキソール(パクリタキセル)という抗がん剤について勉強したとき、 その薬剤のターゲットがコイツであることを学びました(・w・) タキソールが、微小管形成を阻害することで、細胞分裂を不可にし、 がん細胞のような異常に分裂する細胞を壊すそうです。 でも、細胞分裂は髪なんかでも起きているので、そういうところでは 細胞分裂不可なことによる副作用が出るのだとか。 ちなみにタキソールは、その名前の由来にもなっているとおり、 イチイの木から得られたものです。 ただ、イチイの木は成長が遅いため、イチイを生産することによって タキソールを得るという製法は、非常に効率が悪いです。 現在では、前駆体となる物質からのタキソール合成が (たしか)確立されていて、安くなっているはず。
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【医療11】07-04-26 1日に施行されたがん対策基本法が目指す、がん医療の地域格差解消を担う「がん診療連携拠点病院」で、抗がん剤や放射線治療の専門医がいない病院がそれぞれ3割を超すことが、読売新聞社の全国調査で明らかになった。 地方で人材確保が難しいことが背景にあり、患者の求めるがん医療ができない恐れもある。全国どこでも均一ながん医療の提供をうたう同法の目標が、一朝一夕では実現しない実態が浮き彫りになった。 調査は、今年3~4月、全国286か所のがん診療連携拠点病院と47都道府県を対象に、がんの診療実績、地域の医療体制などに関するアンケートを送付。有効回答を寄せた164病院(57%)と全自治体について分析した。 引用元:http //headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070426-00000001-yom-soci ソース http //news21.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1177562596/l50 2007-04-26計 - 昨 - 当 -
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ケノン副作用と音楽教室 近所に音楽教室があります。 音楽教室では、子どもたちが歌を歌っていたり、ピアノやエレクトーンを弾いていたりします。 子どもたちの歌声はとてもかわいらしいので、聴いていると思わず笑顔になります。 また、ピアノの演奏はたまに音が外れていますが、がんばって弾いているんだろうなあ、とほのぼのした気持ちになります。 その音楽教室は人気を集めているようで、いつもたくさんの生徒さんが来られています。 音楽はよいものだなあ、と思います。 ケノン副作用
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参考になるサイト紹介 http //ganjoho.ncc.go.jp/public/cancer/data/colon.htmlより 大腸がん(だいちょうがん) 1.大腸がんとは 2.症状 3.診断 4.病期(ステージ)と生存率 5.治療 6.手術後の管理 1.大腸がんとは 大腸は消化吸収された残りの腸内容物をため、水分を吸収しながら大便にするところです。多種、多量の細菌の住みかでもあります。約2mの長さがあり、結腸 と直腸肛門からなります。大腸粘膜のあるところではどこからでもがんができますが、日本人ではS状結腸と直腸が大腸がんのできやすい部位です。 年齢別にみた大腸がん(結腸・直腸・肛門がん)の罹患(りかん)率は、50歳代付近から増加し始め、高齢になるほど高くなります。 大腸がんの罹患率、死亡率はともに男性のほうが女性の約2倍と高く、結腸がんより直腸がんにおいて男女差が大きい傾向があります。 男女とも罹患数は死亡数の約2倍であり、これは大腸がんの生存率が比較的高いことと関連しています。 大腸がんの罹患率の年次推移は、男女とも1990年代前半までは増加し、その後は横ばい傾向です。また、死亡率の年次推移は、男女とも戦後から1990年代半ばまで増加し、その後漸減傾向です。 大腸がんの増加には、主として結腸がんの増加が影響しています。罹患率の国際比較では、結腸がんはハワイの日系移民が日本人より高く、欧米白人と同程度で あることが知られていましたが、最近では、結腸がん・直腸がんともに、日本人はアメリカの日系移民および欧米白人とほぼ同じになっています。 大腸がんでは、直系の親族に同じ病気の人がいるという家族歴は、リスク要因になります。特に、家族性大腸腺腫症と遺伝性非ポリポーシス性大腸がん家系は、 確立した大腸がんのリスク要因とされています。生活習慣では、過体重と肥満で結腸がんリスクが高くなることが確実とされています。また、飲酒や加工肉 (ベーコン、ハム、ソーセージなど)は、おそらく確実な大腸がんリスクとされています。 国際がん研究機構(IARC)の評価では、喫煙が大腸がんのリスク要因であるとする科学的根拠は、少なからずあるものの、十分とはいえないとされていま す。日本人を対象にした疫学研究を系統的に総括した論文(2006年)では、喫煙習慣は、日本人では大腸がんリスクを上昇させる可能性があると結論してい ます。部位別の判定では、直腸がんについては、リスク上昇の可能性がある一方、結腸がんについては不十分と判定されています。 そのほか、ヘテロサイクリックアミンやニトロサミンなどが、大腸がんのリスク要因である根拠が、限定的または不十分とされています。 大腸がんの予防要因としては、運動の結腸がん予防効果が確実とされています。また、従来「確実」とされていた野菜については、IARCのレポート (2003年)での新しい評価で、「おそらく確実」と変更されました。その主な理由は、最近発表されたいくつかの大規模なコホート研究の結果、予防的な関 連が認められなかったことです。また果物は、同年のIARCレポートでは、大腸がん予防の可能性があるとされています。そのほか、可能性あり、またはエビ デンス不十分な予防要因として、葉酸、カルシウム、ビタミンD、食物繊維摂取などが挙げられています。また、非ステロイド消炎鎮痛剤(NSAIDs、アス ピリンを含む)とホルモン補充療法が、リスクを減少させる要因として挙げられています。 大腸がんは早い時期に発見すれば、内視鏡的切除や外科療法により完全に治すことができます。少し進んでも手術可能な時期であれば、肝臓や肺へ転移(これを 遠隔転移と呼びます)しても、外科療法により完全治癒が望めます。つまり、外科療法が大変効果的です。しかし、発見が遅れれば、肺、肝臓、リンパ節や腹膜 などに切除困難な転移がおこります。こうした時期では、手術に加え放射線療法や化学療法(抗がん剤治療)が行われます。 手術を受けた後に再発することもあります。術後は定期的に(4~12ヶ月の間隔)再発チェックのための検査を受ける必要があります。肝臓、肺、腹膜が転移 しやすい臓器であり、また、切除した部位に局所再発がおこることもあります。大腸がんは他のがんとは異なり、早い時期に再発が見つかれば、再発巣の切除に より完治も期待できます。再発の8割以上は術後3年目以内に発見されます。手術後、5年以上再発しないことが完治の目安です。 このページの先頭へ 2.症状 copyright (画像をクリックすると拡大表示します:24.2KB) a href= /public/cancer/data/odjrh30000004d95-img/odjrh30000004dab.jpg target= _blank 拡大画像 /a 大腸がんの自覚症状は、大腸のどこに、どの程度のがんができるかによって違います。大腸のはじまりは盲腸です。頭部、つまり上に向かう部分が上行結腸、次 いで横たわっている部位を横行結腸、足つまり下に向かう部分が下行結腸、S字状に曲がっている部分がS状結腸、約15cmの真っすぐな部分が直腸で、最後 の肛門括約筋のあるところが肛門管です。国立がんセンター中央病院で1990年~1995年の間に切除された1,409例の大腸がんの発生部位と頻度は、 直腸534例(37.9%)、S状結腸483例(34.3%)、上行結腸146例(10.4%)、横行結腸99例(7.0%)、盲腸83例(5.9%)次 いで下行結腸64例(4.5%)となっています。 がんに特徴的な症状はなく、良性疾患でもがんと類似した症状がおきます。血便、便が細くなる(便柱細少)、残便感、腹痛、下痢と便秘の繰り返しなど排便に 関する症状が多く、これらはS状結腸や直腸に発生したがんにおきやすい症状です。中でも血便の頻度が高く、これはがんの中心が潰瘍となり出血がおきるため です。痔と勘違いして受診が遅れることもありますので注意しましょう。がんによる血便では肛門痛がなく、暗赤色の血液が便に混じったり、ときに黒い血塊が 出るなどの特徴があります。肛門から離れた盲腸がんや上行結腸がんでは血便を自覚することは少なく、貧血症状があらわれてはじめて気がつくこともありま す。腸の内腔が狭くなりおこる腹痛や腹鳴、腹部膨満感や痛みを伴うしこりが初発症状のこともあります。 ときには、嘔吐などのがんによる腸閉塞症状で発見されたり、肺や肝臓の腫瘤(しゅりゅう)として大腸がんの転移が先に発見されることもあります。こうした症状で発見されるがんは進行したものです。 このページの先頭へ 3.診断 大腸がんは、早期であればほぼ100%近く完治しますが、一般的には自覚症状はありません。したがって、無症状の時期に発見することが重要となります。大 腸がんのスクリーニング(検診)の代表的なものは、地域、職域で普及してきた大便の免疫学的潜血反応で、食事制限なく簡単に受けられる検査です。この検査 が陽性でも、「大腸がんがある」ということではありませんし、逆に陰性でも「大腸がんはない」ともいえません。健康な集団の中から、大腸がんの精密検査が 必要な人を拾いあげる負担の少ない最も有効な検査法です。最近では、がんセンターで手術を受けた30%近くの方が便潜血反応で発見されています。したがっ て、40歳を過ぎたらこの検診を受けることをお勧めします。血液検査で腫瘍マーカー(CEA、CA19-9)の異常値で見つかることもあります。 大腸がんの確定診断のためには、大腸内視鏡検査が必須ですが、下剤で便を全部排出しないと精度の高い検査はできません。胃の検査などに比べれば多少負担のかかる検査といえます。以下に大腸がんの患者さんに一般に施行する検査項目に関して概説します。 1)注腸造影検査 食事制限の後、下剤で前処置を十分行います。肛門からバリウムと空気を注入し、X線写真をとります。この検査でがんの正確な位置や大きさ、腸の狭さの程度などがわかります。 2)大腸内視鏡検査 肛門から内視鏡 (ビデオスコープ)を挿入して、直腸から盲腸までの全大腸を詳細に調べる検査です。大腸内に便が残っていた場合は十分な検査ができませんので、検査当日に 腸管洗浄液を1~2リットル飲んでいただき、大腸内をきれいにしてから検査を行います(80歳以上の方には検査前日からの入院をおすすめしています)。通 常、検査は20分程度で終わり、多くの場合大きな苦痛もありませんが、開腹手術後などで腸の癒着している方や、腸の長い方は多少の苦痛が伴います。その場 合には軽い鎮静・鎮痛剤を使用することがあります。検査は、まず内視鏡を肛門から一番奥の盲腸まで挿入して、主にスコープを抜いてくる際に十分に観察しま す。その際、検査を受けている方は、直接モニター画面を見ながら医師の説明を聞くことができます。もし、ポリープ等の病変を認めた場合、悪性か良性かどう かを調べるために病変の一部を採取して、どういう性状の病変かを顕微鏡で調べることもあります(これを組織生検と言います)。また、適応があれば内視鏡的 に切除(内視鏡的ポリペクトミーや内視鏡的粘膜切除術(EMR))することも可能です。 3)腫瘍マーカー 血 液の検査で身体のどこかに潜んでいるがんを診断する方法です。しかし、大腸がんを早期に発見できる腫瘍マーカーはまだありません。CEAとCA19-9と 呼ばれるマーカーが一般的ですが、進行大腸がんであっても約半数が陽性を示すのみです。腫瘍マーカーは転移・再発の指標として、また治療効果の判定基準と して用いられています。しかし、転移・再発した場合でも必ずしも異常値を示すわけではなく、逆に転移・再発していない場合でも異常値を示す時もあり、経時 的な測定が必要です。 4)画像診断(CT、MRI、超音波検査、PETなど) こ れらの検査の進歩は目覚ましいものがありますが、消化管のひとつである大腸にできた病気を発見するには適していません。大腸がんに関しては、原発巣での進 みぐあいと肝臓や肺、腹膜、骨盤内の転移・再発を調べるために用いられます。また最近、PET検査が注目されています。骨盤CT、骨盤MRIでも判断でき ないような骨盤内再発の発見や腫瘍マーカーの推移などから転移・再発が疑われますが、CT、MRI、超音波検査などの通常の検査では転移・再発部位が発見 できない場合にPET検査で発見される場合があります。しかし、PETは万能の検査ではありません。また、現時点では医療保険では適応が限られており、通 常術前の患者さんに施行することはありません。PET検査の必要性に関しては担当医と十分ご相談下さい。 このページの先頭へ 4.病期(ステージ)と生存率 生存率は、通常、がんの進行度や治療内容別に算出しますが、患者さんの年齢や合併症(糖尿病などがん以外の病気)の有無などの影響も受けます。用いるデータによってこうした他の要素の分布(頻度)が異なるため、生存率の値が異なる可能性があります。 ここにお示しする生存率は、これまでの国立がんセンターのホームページに掲載されていたものです。生存率の値そのものでなく、ある一定の幅(データによって異なりますが±5%とか10%等)をもたせて、大まかな目安としてお考え下さい。 大腸がんと診断がつけば、どの程度のがんか、肝臓、肺な どの遠隔臓器に転移があるのかどうかの検査が行われます。がんの拡がりの程度に応じて治療法も異なります。大腸がんには、Dukes(デュークス)分類と TNM分類のステージ分類が使われます。がんの大きさではなく、大腸の壁の中にがんがどの程度深く入っているか、及びリンパ節転移、遠隔転移の有無によっ て進行度が規定されています。各病期の手術後の5年生存率を括弧内に記載します。 デュークス分類 デュークス A (95%): がんが大腸壁内にとどまるもの デュークス B (80%): がんが大腸壁を貫くがリンパ節転移のないもの デュークス C (70%): リンパ節転移のあるもの デュークス D (10%): 腹膜、肝、肺などへの遠隔転移のあるもの ステージ分類 0期: がんが粘膜にとどまるもの I期: がんが大腸壁にとどまるもの II期: がんが大腸壁を越えているが、隣接臓器におよんでいないもの III期: リンパ節転移のあるもの IV期: 腹膜、肝、肺などへの遠隔転移のあるもの このページの先頭へ 5.治療 治療法には内視鏡的治療、外科療法、放射線療法、化学療法があります。 1)内視鏡的治療 図1 100倍拡大 copyright 従来の内視鏡でもポリープの有無や性状は診断可能であり、必要に応じてポリープを切除していました。最近では、ポリープの表面構造を100倍まで拡大して 観察できる拡大内視鏡を用いることで、より精密な検査が可能となっています(図1 100倍拡大)。当院では、この拡大内視鏡を用いたより精度の高い診 断、つまり腫瘍・非腫瘍(内視鏡切除の適応である腫瘍性ポリープと、切除する必要のないその他のポリープ)の鑑別を行っています。また、同様に、拡大内視 鏡を用いることで、内視鏡的治療で根治可能な早期がんと外科手術が必要な病変との判別も行っています。なお、ポリープ切除に際しては、大腸粘膜には知覚神 経がないため通常痛みを感じることはありません。 (a) 内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー) 茎のあるポリープを認めた場合、スコープを通してスネアとよばれるループ状の細いワイヤー(針金)を、茎の部分に引っかけて締めて高周波電流で焼き切ります。 (b) 内視鏡的粘膜切除術(EMR) 図2 内視鏡的粘膜切除術 copyright (画像をクリックすると拡大表示します:20.8KB) a href= /public/cancer/data/odjrh30000004d95-img/odjrh30000004dcn.jpg target= _blank 拡大画像 /a 無茎性、つまり平坦なポリープや腫瘍の場合は、ワイヤーがかかりにくいため、病変の下層部に生理食塩水などを注入して周辺の粘膜を浮き上がらせ、広い範囲 の粘膜を焼き切ります(図2 内視鏡的粘膜切除術)。通常、外来治療を行いますが、病変が大きい場合には短期間の入院の上内視鏡治療を行います。 (c) 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) 図3 内視鏡的粘膜下層剥離術 copyright (画像をクリックすると拡大表示します:24.2KB) a href= /public/cancer/data/odjrh30000004d95-img/odjrh30000004deh.jpg target= _blank 拡大画像 /a 腫瘍が大きい場合、これまでは外科手術か内視鏡的な分割切除(病変を何回かにわけて切除する方法)が選択されていました。しかし最近では、主に胃において 行われているESD(内視鏡的粘膜下層剥離術:病変を電気メスで徐々にはぎ取る方法)を応用することにより、大きな腫瘍も一括で切除(一つの塊として切除 すること)できるようになってきています(図3 内視鏡的粘膜下層剥離術)。但し、従来のEMRに比較すると高度な手技を要するため切除に多少時間がかか りますし、切除面の傷も広くなるため、数日間の入院が必要となります。 いずれの方法においても、摘出した後、病変を十分に顕微 鏡で検索することが重要です。良性の腫瘍や粘膜内にとどまる早期のがん(再発や転移の危険性がない)は内視鏡的に治癒切除することができますが、早期がん の中でもがんがより深く(粘膜筋板を越えて粘膜下層深く)進展していることが判明した場合には、リンパ節転移や再発の危険性が10%前後であるため、追加 の外科手術が必要となる場合があります。 2)外科療法 (1)結腸がんの手術 大腸がんの治療は外科療法が基本で、早期がんの場合でも手術が必要になる場合があります。結腸がんの場合、切除する結腸の量が多くても、術後の機能障害はほとんどおこりません。リンパ節郭清(かくせい)と呼ばれるリンパ節の切除とともに結腸切除術が行われます。 (2)直腸がんの手術 直腸は骨盤内の深く狭いところにあり、直腸の周囲には前立腺・膀胱・子宮・卵巣などの泌尿生殖器があります。排便、排尿、性機能など日常生活の上で極めて 重要な機能は、骨盤内の自律神経という細い神経繊維によって支配されています。進んでいない直腸がんには、自律神経をすべて完全に温存し、排尿性機能を術 前同様に残すことも可能です。しかし、自律神経の近くに進行している直腸がんでは、神経を犠牲にした確実な手術も必要となります。直腸がん手術は、進行度 に応じたさまざまな手術法があります。代表的な手術である自律神経温存術、肛門括約筋温存術、局所切除、人工肛門について説明します。 自律神経温存術 過去15年間に進歩した手術法です。直腸がんの進行の度合いや、排尿機能と性機能を支配する自律神経繊維を手術中に確認し、必要に応じて選択的に自律神経 を温存する手術法です。我が国の大腸外科医が世界に誇れる成果です。がんを徹底的に切除しながら、同時に進行度に応じて神経を残す方法です。全部の神経が 残せれば、手術前と同様な機能、つまり男性では射精、勃起機能を完全に温存することができます。やや進んだがんでは、勃起機能のみを残す手術法もありま す。性機能障害については、「性機能障害とリハビリテーション(男性)」の項を参照して下さい。 肛門括約筋温存術 以前は肛門に近い直腸がんの多くに人工肛門がつくられていましたが、最近では直腸がんの8割は人工肛門を避ける手術ができるようになりました。自動吻合器 という筒状の機械を使って、がんの切除後に短くなった直腸端と結腸の先端を縫合し、本来の肛門からの排便を可能にする手術法で肛門括約筋温存術と呼ばれま す。肛門から4cm以上、歯状線(肛門と直腸との境界)から2cm以上離れていれば、自然肛門を温存することが可能です。この手術と自律神経温存術を併用 すれば、術後の機能障害をかなり軽減することが可能となりました。さらに最近では、歯状線にかかるような、より肛門に近い直腸がんであっても早期がんや一 部の進行がんで肛門括約筋を部分的に切除して自然肛門を温存する術式が一部の専門施設で行われるようになってきました。しかし、高齢者の場合、無理に肛門 を残すと術後の頻便などのため逆効果になることもあります。したがって、手術法と病期の進行度を正確に説明し、年齢、社会的活動力、本人や家族の希望など を考慮に入れ、総合的に術式を決定することが極めて重要となります。 局所切除 早期がんや大きな腺腫に採用される手術法です。開腹手術ではなく、肛門からと仙骨近くの皮膚、直腸を切開し病変に到達する方法です。術後に、放射線療法や化学療法を追加する場合もあります。 人工肛門 肛門に近い直腸がんや肛門にできたがんでは、人工肛門を造設する直腸切断術という手術を行わなければなりません。また、高齢者は肛門括約筋の力が低下して おり、無理して括約筋温存術を採用すれば術後の排便コントロールが難しい場合もあるので、人工肛門による排便管理を勧めています。ビデオ、患者会(オスト メイト)や専門の看護師を通し、ストーマ教育を充実させ、人工肛門管理の自立とメンタルケアに務めています。詳しくは「大腸がん手術後の排便・排尿障害のリハビリテーション」「ストーマ管理」の項を参照して下さい。 (3)腹腔鏡手術 大腸がんに対する腹 腔鏡手術は1990年代前半から国内でも行われるようになり、腹腔鏡手術を施行する施設は徐々に増えてきています。炭酸ガスで腹部を膨らませて、腹腔鏡を 腹部の中に入れその画像を見ながら小さな孔から器具を入れて手術を行います。がんを摘出するために1ヶ所、4~8cmくらいの傷が必要です。手術時間は開 腹手術より長めですが、小さな傷口で切除が可能ですので、術後の疼痛も少なく、術後7~8日前後で退院できるなど負担の少ない手術です。 がんが盲腸、上行結腸やS状結腸、上部直腸に位置し、内視鏡的治療が困難な大きなポリープや早期がんが腹腔鏡手術のよい対象と考えられています。一部の専 門施設ではがんが横行結腸や下行結腸、下部直腸に位置した場合や、進行がんでも腹腔鏡手術が行われています。しかし、進行がんに対しても開腹手術と同等の 安全性や治療成績が得られるのかについては今後の検討が必要です。これまでのデータでは、十分に経験を積んだ大腸がんに対する腹腔鏡手術の専門医が担当す れば、進行がんでも腹腔鏡手術の生存率は開腹手術と同等となるのではないかと考えられています。現在、国内では進行がんに対する腹腔鏡手術と開腹手術の臨 床比較試験が実施されています。 腹腔鏡手術は近年開発された手術手技であり、特殊な技術・トレーニングを必要とし、外科医のだれもが安全に施行できるわけではありません。現在、腹腔鏡手 術の最大の問題は、どこの施設でも安全に腹腔鏡の手術が施行できるわけではないこと、すなわち大腸がんの腹腔鏡手術の専門医が限られていることです。その ため、施設により腹腔鏡手術の対象としている患者さんが異なるのが現状で、大腸がんに対する腹腔鏡手術を導入していない施設も現時点ではたくさんありま す。腹腔鏡手術を希望する場合には専門医がいる病院を受診し、開腹手術と比較した長所、短所の説明を十分に受けて、腹腔鏡手術か開腹手術かを決定して下さ い。 3)放射線療法 放 射線療法には、1)手術が可能な場合での骨盤内からの再発の抑制、手術前の腫瘍サイズの縮小や肛門温存をはかることなどを目的とした手術に対する補助的な 放射線療法と 2)切除が困難な場合での骨盤内の腫瘍による痛みや出血などの症状の緩和や延命を目的とする緩和的な放射線療法があります。 (1)補助放射線療法 切除が可能な直 腸がんを対象とします。通常、高エネルギーX線を用いて、5~6週間かけて放射線を身体の外から照射します(外部照射)。化学療法の適応がある場合には、 化学療法と併用して行われることが標準的です。手術中に腹部の中だけに放射線を照射する術中照射という方法を用いることもあります。我が国における専門施 設では十分なリンパ節郭清により、骨盤内からの再発が少ないなど手術成績が欧米に比べ良好なことなどから、現在、我が国では補助放射線療法は欧米に比べ積 極的に行われていません。 (2)緩和的放射線療法 骨盤内の腫瘍による痛みや出血などの症状の緩和に放射線療法は効果的です。全身状態や症状の程度によって、2~4週間などの短期間で治療することもあります。また、骨転移による痛み、脳転移による神経症状などを改善する目的でも放射線療法は一般的に行われます。 (3)放射線療法の副作用 放射線療法の副作用は、主には放射線が照射されている部位におこります。そのため治療している部位により副作用は異なります。また副作用には治療期間中のものと、治療が終了してから数ヶ月~数年後におこりうる副作用があります。 治療期間中におこる副作用として、全身倦怠感、嘔気、嘔吐、食欲低下、下痢、肛門痛、頻尿、排尿時痛、皮膚炎、会陰部皮膚炎(粘膜炎)、白血球減少などの 症状が出る可能性があります。以上の副作用の程度には個人差があり、ほとんど副作用の出ない人も強めに副作用が出る人もいます。症状が強い場合は症状を和 らげる治療をしますが、通常、治療後2~4週で改善します。治療後数ヶ月してからおこりうる副作用として、出血や炎症など腸管や膀胱などに影響が出ること があります。 4)化学療法 大 腸がんの化学療法は、進行がんの手術後に再発予防を目的とした補助化学療法と、根治目的の手術が不可能な進行がんまたは再発がんに対する生存期間の延長及 びQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)の向上を目的とした化学療法とがあります。大腸がんに対して有効かつ現時点で国内にて承認されている抗が ん剤は、フルオロウラシル(5-FU)+ロイコボリン(国内ではアイソボリン)、イリノテカン(CPT-11)、オキサリプラチン、UFT/LV、 UFT、S-1などです。 (1)術後補助化学療法 手術によりが んを切除できた場合でも、リンパ節転移があった場合に、再発率が高くなることが知られています。このような場合、手術を行った後に化学療法を行うことで、 再発を予防するあるいは再発までの期間を延長できることがわかっています。このような治療を、術後補助化学療法といいます。一般には、術後補助化学療法の 対象はリンパ節転移があるステージIII期の患者さんで、手術後に5-FU/ロイコボリン療法の6ヶ月投与が標準的に行われています。リンパ節転移のない ステージI期、ステージII期の大腸がんについて術後補助化学療法の有用性は明らかではないため、基本的には術後補助化学療法は行わず、無治療で経過観察 をします。 (2)化学療法 根治的な手術が不可能な場合には、化学療法の適応になります。大腸がんの場合、化学療法のみで完治することはまれですが、臓器機能が保たれている人では、 化学療法を行わない場合と比較して、化学療法を行ったほうが、生存期間を延長させることがわかっています。抗がん剤というと、副作用が強く、治療を行った ほうが命を縮めてしまうと考えてしまうかもしれませんが、最近は副作用の比較的少ない抗がん剤の開発と、副作用対策の進歩により、入院せずに外来通院で日 常生活を送りながら化学療法を受けている患者さんも多くなりました。大腸がんの化学療法は外来で行えるものも多く、副作用をコントロールしながら、がんあ るいは治療と上手につき合っていくことが、一番の目標といえるでしょう。 以下に大腸がん化学療法に用いる代表的な薬と治療法について説明します。 5-FU(5-フルオロウラシル)+ロイコボリン 5-FUは数十年前より広く使われている薬で、胃がんや食道がんにも用いられています。大腸がんに対しては、ロイコボリンという薬と併用されることが多い ですが、最近はそれに加えて後述するイリノテカンやオキサリプラチンとも併用されるケースも多くなってきています。使い方は、週に1回点滴する方法や、2 週間に1回持続点滴を行う方法、週に1回肝動脈へ点滴する方法など、いろいろな治療法に組み込まれて使用されています。 副作用は比較的軽微ですが、下痢や口内炎などの粘膜障害や、白血球が減ったりすること、手指の皮膚が黒くなること、食欲の低下などに注意する必要があります。 イリノテカン 10年ほど前から用いられ、胃がんや肺がんでも広く使用されている薬です。大腸がんに対しては、単独あるいは、5-FU/ロイコボリンとの併用で用いられ ます。併用する場合には5-FUを短時間(15分)で投与する方法(IFL療法)と、5-FUを短時間で投与した上でさらに46時間持続的に投与する方法 (FOLFIRI療法)の2種類あります。以前はIFL療法も多く用いられていましたが、副作用並びに効果の面でFOLFIRI療法のほうが優れているこ とがわかったため、現在ではFOLFIRI療法が多く用いられるようになってきています。 副作用としては、食欲の低下、全身倦怠感、下痢、白血球が減ったりすること、脱毛などがあります。また投与中の発汗や腸管運動の亢進などもよくみられます が、アトロピンなどの抗コリン薬を用いるとコントロールできることが多いです。食欲の低下に対しては、ステロイド剤や制吐剤を用いますが、コントロールが 難しい場合もあります。そのような場合には、担当医に相談しましょう。 オキサリプラチン オキサリプラチンは我が国で合成されましたが、主にフランスやアメリカなどで臨床開発が行われ、世界的には大腸がんに対する主な抗がん剤のひとつとなりま した。我が国の一般臨床で使用できるようになったのは、2005年4月のことです。単独ではあまり効果を発揮しませんが、5-FU/ロイコボリンとの併用 (FOLFOX療法)では、FOLFIRI療法とほぼ同等の治療成績を示しており、この2つの療法が現在の大腸がん化学療法の柱となっています。 副作用としてはイリノテカンと比較して食欲の低下は軽く、脱毛もあまり認めませんが、投与された患者さんの80~90%に感覚性の末梢神経障害をきたすの が特徴です。この末梢神経障害は、寒冷刺激により誘発され、冷たいものを触ったり、冷たい飲み物を飲んだりすることで、手先にびりっとする感覚や、のどの 違和感が出現します。治療開始当初は2~3日で消失しますが、治療を継続するにしたがって、回復が遅れ、治療後4~5ヶ月で、10%の患者さんに機能障害 (箸が持ちにくくなるなど)をきたすといわれています。このような場合には、オキサリプラチンの投与量を減らしたり、あるいは治療をお休みするなどして副 作用の回復を待ちます。これら以外にも白血球が減ったり、血小板が減ったりすることが比較的よくみられます。 その他 これら以外にも経口剤であるUFT/LV、UFT、S-1なども患者さん自身の状況に応じて使い分けます。また、新しい作用機序を持つ抗体医薬品であるセ ツキシマブ、ベバシズマブといった、海外で有効性が示された薬も国内で少しでも早く使うことができるように治験が進んでいます。 これらの薬は、必ず使わなくてはいけないというものでは なく、状況によってはむしろ使用しないほうが患者さんにとって有益であるケースもあります。例えば、全身状態の悪い患者さんにイリノテカンやオキサリプラ チンなどの治療を行った場合、白血球が予想よりも多く減少したりする可能性もありますし、腸の通りが悪い患者さんにはイリノテカンは使用できません。その ような場合には比較的副作用の少ない5-FUを中心に治療を行ったり、がんの苦痛を軽減するための治療(緩和ケア)のみを行うケースもあります。担当医と よく相談して最善の治療方法を選択して下さい。 このページの先頭へ 6.手術後の管理 大腸がんは手術が治療の中心です。少し進行していても治るチャンスが他の消化器がんに比較して高いわけですが、手術後は再発の早期発見のために定期的な検 査を行うことが極めて重要です。大腸がんでは肝臓や肺・骨盤内に転移・再発する場合が多いのですが、その場合でも切除可能な場合には早期に転移・再発病変 を切除したり、切除不可能な場合にも早期に化学療法や放射線療法を開始することが大切だからです。したがって、手術時の病期により異なりますが、手術後3 年間は3~6ヶ月に一度通院し、胸部X線検査、肝臓のCT、超音波検査、腫瘍マーカーなどの検査を行います。厳重に追跡検査を行えば、再発の8割を2年以 内に発見することができます。成長の遅い大腸がんもあるので5年間の追跡は必要です。3年目以降は半年に一度の検査で十分です。 大腸がん手術後の食事については、「大腸の手術のあと」の項を参照して下さい。 一般の方向け参考資料 出版物: 「2006年版 大腸癌治療ガイドラインの解説」 大腸癌研究会編 金原出版 ISBN4-307-20218-X このページの先頭へ
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女性薄毛は男性薄毛のようにある程度の年齢になってから気にするものって思ってる人もいるんじゃないでしょうか。 でも、実際には男性薄毛に若ハゲがあるように、まだ若い人でも女性薄毛に警戒しないといけないんです。 たとえば20代でも女性薄毛になる場合があるんですけど、これは若年性脱毛症っていって髪の毛が全体的に薄くなってくるのが特徴なんです。 原因としては誤りのあるダイエット、睡眠不足や運動不足、喫煙による血行不良、出産後のホルモンバランスの乱れ、抗がん剤などの副作用がありますね。 あと、使っているシャンプーが合わないとか使用方法が正しくない、パーマやヘアカラーのし過ぎ、過度なヘアスタイリング剤の使用、髪の毛を引っ張るヘアスタイルなど、女性薄毛になる原因はいろいろあるんです。 ちなみに、20代のように若い人の女性薄毛は早いうちに対策をとると十分に解消できる見込みがあるんですね。 20代の若さで髪の毛が薄くなるとショックでしょうが、早期に病院で専門的な治療を受けるなどして、改善を目指すことをおすすめしますよ。
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◆H18. 2.24 東京地方裁判所 平成16年(行ウ)第191号 行政処分取消請求事件 事件番号 :平成16年(行ウ)第191号 事件名 :行政処分取消請求事件 裁判年月日 :H18. 2.24 裁判所名 :東京地方裁判所 部 :民事第38部 平成18年2月24日判決言渡し 同日原本領収 裁判所書記官 平成16年(行ウ)第191号 行政処分取消請求事件 口頭弁論終結日 平成17年12月26日 判 決 愛知県一宮市 原告 A 訴訟代理人弁護士 岡田泰亮 訴訟復代理人弁護士 加藤興平 東京都千代田区霞が関一丁目2番2号 被告 厚生労働大臣B 指定代理人 市原久幸 瀬戸 勲 藤田一郎 松本良一 手島一嘉 木下栄作 主 文 一 原告の請求を棄却する。 二 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第一 請求 被告が原告に対して平成16年3月18日付けでした、平成16年4月1日から平成19年9月30日までの期間、医業の停止を命ずる旨の処分を取り消す。 第二 事案の概要 一 事案の骨子 本件は、抗がん剤の過剰投与により患者が死亡した医療事故に関し、被告が、その主治医であった原告に対し、「罰金以上の刑に処せられたため。」及び「医事に関し不正の行為のあったため。」を理由として、医師法7条2項に基づき、3年6か月の期間医業の停止を命ずる旨の処分をしたところ、原告が、医事に関し不正の行為はなく、上記処分は重すぎるので違法であるなどと主張して、上記処分の取消しを求める事案である。 二 関係法令の定め 本件に関連する医師法の規定は、次のとおりである。 4条(相対的欠格事由) 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。 1号及び2号 (省略) 3号 罰金以上の刑に処せられた者 4号 前号に該当する者を除くほか、医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者 7条(免許取消し、医業停止、再免許) 1項 (省略) 2項 医師が第4条各号のいずれかに該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、その免許を取り消し、又は期間を定めて医業の停止を命ずることができる。 (以下省略) 三 前提事実 本件の前提となる事実は、次のとおりである。なお、証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることのできる事実並びに当裁判所に顕著な事実は、その旨付記しており、それ以外の事実は、当事者間に争いのない事実である。 1 原告の経歴(乙2、15、弁論の全趣旨) 原告(昭和45年○月○日生まれ)は、平成8年3月に埼玉医科大学を卒業し、同年4月に医師国家試験に合格して、医師免許を取得した者であり、耳鼻咽喉科を専門としていた。なお、原告には、医師法による処分歴はなかった。 原告は、医師免許を取得後、埼玉医科大学総合医療センター(以下「医療センター」という。)において、研修医として2年間、病院助手として約1年間勤務した後、外部の病院で1年間働き、平成12年5月から医療センターの病院助手として勤務していたもので、平成12年10月7日当時、医師として5年目であった。 なお、原告は、後記3の医療事故の後、埼玉医科大学を懲戒解雇された。 2 本件医療事故の関係者等(乙15) (一) C(以下「C」という。)は、昭和58年○○月○○日生まれの女子であり、平成12年10月7日当時、16歳であった。Cは、後記のとおり、医療センターにおいて、抗がん剤である硫酸ビンクリスチンの過剰投与により、平成12年10月7日に死亡した(以下、この医療事故を「本件医療事故」という。)。 (二) D(以下「D医師」という。)は、平成4年に医師免許を取得した医師で、耳鼻咽喉科を専門としていた。D医師は、本件医療事故当時、埼玉医科大学耳鼻咽喉科助手として同大学に勤務し、医療センターにおいて治療行為に従事していた。D医師は、本件医療事故当時、医師として9年目であり、日本耳鼻咽喉科学会が主催する専門医試験に合格していた。 (三) E(以下「E教授」という。)は、昭和37年に医師免許を取得した医師で、耳鼻咽喉科を専門としていた。E教授は、本件医療事故当時、耳鼻咽喉科教授として、埼玉医科大学に勤務し、耳鼻咽喉科の診療部門の統括責任者である科長として、医療センターにおいて治療行為に従事していたほか、複数の学会等の役員に就任していた。 (四) 本件医療事故の当時、埼玉医科大学耳鼻咽喉科には、診療科長であるE教授の下に、講師1名、医局長としてF(以下「F医局長」という。)、助手としてD医師、病院助手としてG(以下「G医師」という。)及び原告ほか4名、研修医としてH(以下「H研修医」という。)及びI(以下「I研修医」という。)ほか1名の合計12名の医師が在籍していた。 3 本件医療事故(乙2、15、22) (一) Cは、平成12年4月ころ、右顎下にしこりの存在を訴え、そのころ、埼玉県北本市所在のJ診療所において、当時外来担当として医療センターから派遣されていた原告の診察を受けた。Cは、原告の勧めにより、医療センターへ転院することになり、同年7月10日以降、医療センターにおいて治療を受けることになった。また、原告は、主治医として、Cの治療を担当することになった。 (二) Cは、平成12年8月23日、D医師の補助の下、原告の執刀により、右顎下の腫瘍の摘出手術を受け、摘出された腫瘍は、病理検査に出された。Cは、同月29日、いったん医療センターを退院した。同年9月6日、病理検査の結果、摘出された腫瘍は、滑膜肉腫であることが判明した。 Cは、数回の検査を経て、同月25日、医療センターへ再入院した。 (三) 原告は、Cの治療方法として、硫酸ビンクリスチン、アクチノマイシンD及びシクロフォスファミドの3種類の抗がん剤を組み合わせて用いるVAC療法を選択し、文献から、VAC療法のプロトコール(投与量と間隔を定めた投薬計画のことである。)をコピーして入手した。原告は、Cに対する投薬計画を作成するに当たり、上記プロトコールの薬剤投与頻度が週単位で記載されているのに、これを日単位で記載されているものと誤解し、投与開始日から12日間連続して、硫酸ビンクリスチン(商品名オンコビン)を1日当たり2mg、投与開始日及び12日目、22日目、36日目に、アクチノマイシンD(商品名コスメゲン)を1日当たり0.5mg、診療開始日から6日目以降連日2年間、シクロフォスファミド(商品名エンドキサン)を1日当たり125mg、それぞれ投与する旨の治療計画を立案し、D医師及びE教授の了承を得た。 (四) 原告は、平成12年9月27日から、Cに対し、上記計画に従い、硫酸ビンクリスチンの連日投与を開始した。Cは、連日投与開始の翌日から、食欲低下、顎や顔の痛み等を訴え始めたが、さらに、日を追うごとに、発熱、吐き気、歩行困難等の症状が出現した。 原告は、同年10月3日、Cに対する硫酸ビンクリスチンの投与を中止した。しかし、Cは、翌4日に、40度近くまでの体温の上昇、腸管麻痺による腹痛及び排便不能、排尿困難等の症状が現れ、同月6日には、自力呼吸が困難となり、人工透析が試みられたが、心臓が一時停止するまでに至った。 (五) D医師、G医師及び原告は、平成12年10月6日午後5時ころ、Cのカルテに添付されていた前記プロトコールを見て、Cに対する投薬計画において、1週を1日と誤っていることを発見した。 (六) その後、Cは、平成12年10月7日午後1時35分ころ、硫酸ビンクリスチンの過剰投与の副作用による多臓器不全によって、死亡した。 4 Cの死亡に係る業務上過失致死被告事件(以下「本件刑事事件」という。)の経過 (一) さいたま地方裁判所は、平成15年3月20日、業務上過失致死罪により、原告を禁錮2年執行猶予3年に、D医師を罰金30万円に、E教授を罰金20万円にそれぞれ処する旨の判決を宣告した。 なお、上記判決において認定された罪となるべき事実は、以下のとおりであった。(乙13) 「Eは、…(中略)…埼玉医科大学総合医療センター耳鼻咽喉科科長兼教授として、同科における診療全般を統括し、同科の医師らを指導監督する業務に、Dは、同大学助手として、Aは、同科病院助手として、患者の診療の業務にそれぞれ従事していた者であるが、Dをリーダー、Aを主治医として、研修医Hを加え、医療チームを組み、右顎下部の滑膜肉腫に罹患したCに対し、抗がん剤である硫酸ビンクリスチン、アクチノマイシンD及びシクロホスファミドの3剤を投与する化学療法(VAC療法)を実施するに当たり、 1 Aは、滑膜肉腫やVAC療法の臨床経験がなく、抗がん剤は細胞を破壊する作用を有するもので、その投与は患者の身体に対する高度な侵襲であることから、その用法、用量を誤ると患者の命にも関わる事態となり、また、強い副作用があることから、これを用いるに当たっては、当該療法についての文献、医薬品添付文書等を調査して、その内容を十分理解し、副作用についても、その発現の仕方やこれに対する適切な対応を十分把握して治療に臨むべき業務上の注意義務があるのに、これを怠り、同療法や硫酸ビンクリスチンについての文献、医薬品添付文書の精査をせず、同療法のプロトコールが週単位で記載されているのを日単位と読み間違え、2ミリグラムを限度に週1回の間隔で投与すべき硫酸ビンクリスチンを12日間連日投与するという誤った治療計画を立て、それに従って研修医らに注射を指示し、平成12年9月27日から同年10月3日までの間、同センターにおいて、入院中のCに対し、1日当たり2ミリグラムの硫酸ビンクリスチンを7日間にわたって連日投与し、更には、投与開始4、5日後には、Cに高度な副作用が出始めていたのに、これに対して適切な対応をとらなかった過失 2 Dは、…(中略)…しなかった過失 3 Eは、…(中略)…しなかった過失 の競合により、Aらにおいて、同年9月27日から同年10月3日までの間、同センターにおいて、Cに対し、連日硫酸ビンクリスチンを投与して多臓器不全に陥らせ、よって、同月7日午後1時35分ころ、同所において、Cを硫酸ビンクリスチンの過剰投与の副作用による多臓器不全により死亡させたものである。」(乙2) (二) 上記判決について、検察官(D医師及びE教授の関係でのみ)及びE教授のみが控訴した。東京高等裁判所は、平成15年12月24日、上記判決中、D医師及びE教授に関する部分を破棄し、D医師を禁錮1年6か月執行猶予3年に、E教授を禁錮1年執行猶予3年にそれぞれ処する旨の判決を宣告した。 5 本件処分の手続経過等 (一) 被告は、医師法7条5項に基づき、埼玉県知事に対し、平成15年10月2日付けで、原告について意見の聴取を行った上、被告に報告すべき旨を依頼した(乙3)。 (二) 埼玉県職員は、平成15年11月12日、原告について意見の聴取を実施した(乙4)。 (三) 埼玉県知事は、被告に対し、平成15年12月1日、意見の聴取に係る意見書を提出した(乙5)。 (四) 被告は、原告に対する聴聞の実施を決定し、原告に対し、平成16年2月26日付けで、聴聞通知書を送付した。 上記聴聞通知書に記載された予定される不利益処分の内容は「医師免許取消又は医業停止」であり、上記聴聞通知書に記載された不利益処分の原因となる事実は、以下のとおりであった。(乙6) 「1 業務上過失致死(平成15年3月20日、禁錮2年執行猶予3年) 2 あなたは、埼玉医科大学附属病院において右顎下部滑膜肉腫で入院中のCに対し、平成12年9月27日から同年10月3日までの間、抗がん剤である硫酸ビンクリスチンの処方を誤り過剰に投与し、重篤な副作用を引き起こさせた事実が判明した後の平成12年10月6日から7日の間、過剰投与を引き起こした医師としてまた主治医として、拮抗剤の投与など、その副作用に対する適切な処置を行うことを怠り、結果として、患者を死亡させるという事態を引き起こした。 上記の事実は、医師法第4条第4号に規定する医事に関し不正の行為があったものと認められる。」 (五) 厚生労働事務官は、平成16年3月4日、原告について医師免許取消し又は医業停止についての聴聞を実施した(乙7)。 (六) 上記聴聞を主催した厚生労働事務官は、被告に対し、平成16年3月16日付けで、聴聞報告書を提出した(乙8)。 (七) 被告は、平成16年3月17日、医道審議会医道分科会に対し、原告に対する医師の免許の取消処分又は医業停止処分について、諮問した。これに対し、医道審議会医道分科会は、被告に対し、同日、原告に対する処分として医業停止3年6月が相当である旨、答申した。 なお、被告が、医道審議会医道分科会への上記諮問に際し、医道審議会医道分科会へ提出した行政処分関係審議資料(乙46)の「事案の概要」欄には、「業務上過失致死」として、前記4(一)の原告に対する前記判決において認定された罪となるべき事実と同旨の記載が、「医事に関する不正」として、前記(四)の聴聞通知書に記載された不利益処分の原因となる事実の2(後述する処分の命令書の理由欄の2と同旨である。)と同旨の記載が、それぞれ記載されていた。(乙9、10、46) (八) 被告は、原告に対し、平成16年3月18日付けで、同年4月1日から平成19年9月30日までの期間、医業の停止を命ずる旨の処分(以下「本件処分」という。)をし、同月24日、原告に通知した。 なお、本件処分の命令書(以下「本件命令書」という。乙1)に付記された本件処分の理由は、以下のとおりであった。(乙1、11) 「1 罰金以上の刑に処せられたため。 平成15年3月20日 禁錮2年、執行猶予3年 (業務上過失致死) 2 医事に関し不正の行為のあったため。 埼玉医科大学総合医療センターにおいて右顎下部滑膜肉腫で入院中のCに対し、平成12年9月27日から同年10月3日までの間、抗がん剤である硫酸ビンクリスチンの処方を誤り過剰に投与し、重篤な副作用を引き起こさせた事実が判明した後の平成12年10月6日から7日までの間、過剰投与を引き起こした医師としてまた主治医として、拮抗剤の投与など、その副作用に対する適切な処置を行うことを怠り、結果として、患者を死亡させるという事態を引き起こした。」 (九) 原告は、平成16年5月14日、本件処分の取消しを求める訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。 6 ほかの医師に対する処分 (一) 被告は、本件医療事故に関し、D医師に対して、平成17年7月27日付けで、2年間の医業停止を命ずる旨の処分をした。なお、上記処分は、「罰金以上の刑に処せられた」ことのみが理由とされ、「医事に関し不正の行為のあった」ことは、理由とされなかった。(弁論の全趣旨) (二) 被告は、本件医療事故とは別の医療事故について、東京慈恵会医科大学附属青戸病院(以下「青戸病院」という。)の医師2名に対し、平成16年3月18日付けで、いずれも2年間の医業停止を命ずる旨の処分をした。 なお、そのうち1名の処分理由は、「(医事に関する不正) 当人は、…(中略)…病院手術室において前立腺癌で入院中の患者に対して行われた前立腺摘出手術について、1 腹腔鏡下前立腺全摘除術が高度な技術を要することを承知のうえ、以前から当該術式に関心を寄せいていたこと、及び自らの技量を過信したことから、当該術式を執刀した経験がないにもかかわらず、当該術式による手術の執刀医となるべき旨の依頼を安易に引き受け、2 執刀医という立場でありながら、指導医を手術の場に招かず、当該手術を安全・適切に施行する知識、技術を持たない者のみによる腹腔鏡下前立腺全摘除術を選択・施行・執刀したが、危険性の認識のないまま当該術式を継続し、適当な時期での開腹術への切り替えの判断、出血量に関する適切な評価が行えず、3 結果として、患者を死亡させるという事態を引き起こした。」というものであった。 また、上記の他の1名の処分理由は、「(医事に関する不正) 当人は、…(中略)…病院手術室において前立腺癌で入院中の患者に対して行われた前立腺摘出手術について、1 主治医という立場でありながら、腹腔鏡下前立腺全摘除術が高度な技術を要することを承知のうえ、以前から当該術式に関心を寄せていたこともあり、自ら執刀するつもりもないにもかかわらず、当該術式による手術を患者に提案し、自らは当該術式の経験がないにもかかわらず、自らの技量を過信したことから泌尿器科診療部長から提案のあった指導医の立会を断り、安全・適切に施行する知識、技術を持たない者のみによる同術式の実施をあえて選択し、2 助手として、当該術式の十分な経験、知識、技術を有しないまま、同手術に参加し、一部執刀し、危険性の認識のないまま当該術式を継続し、適切な時期での開腹術への切り替えの判断に影響を与え、3 結果として、患者を死亡させるという事態を引き起こした。」というものであった。(乙17、弁論の全趣旨、公知の事実) 四 当事者の主張の要旨 別紙記載のとおり 第三 当裁判所の判断 一 本件処分の根拠について 1(一) 原告は、本件命令書(乙1)の理由欄の記載内容のうち、「2 医事に関し不正の行為のあったため。」という表題の下の記載等を根拠として、被告が、本件処分を行う際に、上記記載にある「その副作用に対する適切な処置を行うことを怠り、結果として、患者を死亡させるという事態を引き起こした。」という事実、すなわち、Cの死亡の結果を、処分理由である「医事に関し不正の行為」の内容として考慮したものである旨主張する。 そして、原告は、上記主張を前提として、Cへの硫酸ビンクリスチンの過剰投与が判明した平成12年10月6日の夕方以降においては、Cの救命の可能性は失われていたことからすると、本件においては、抗がん剤の過剰投与の判明後、原告が副作用に対する適切な処置を行うことを怠った結果、Cを死亡させたという事実は存しなかったのであり、したがって、本件処分は、処分の理由とされた事実が存しないにもかかわらず、存することを前提としてされたものであるから、違法であり、取り消されるべきである旨主張する。 (二) これに対して、被告は、本件処分の適法性の根拠として、医師法4条3号所定の「罰金以上の刑に処せられた」事実(これについては、Cを死亡させた事実が含まれる。)と、同条4号所定の「医事に関し不正の行為」があった事実を挙げ、そのうち後者の事実としては、別紙「当事者の主張の要旨」1(一)のように主張し、Cの死亡の結果については主張していない。また、被告は、本訴第8回口頭弁論期日における裁判所からの本件の争点の提示に関しても、「『医事に関し不正の行為』に関し、原告の不適切な医療行為と患者の死亡との間に法的因果関係が存在するという主張はしない。」と明確に陳述している。 このように、被告は、本件訴訟における主張として、医師法4条4号所定の「医事に関し不正の行為」に当たる事実としては、「結果として、患者を死亡させるという事態を引き起こした。」という事実を主張していない。 2(一)(1) ところで、前記前提事実によると、本件命令書の「理由」欄中の「2 医事に関し不正の行為のあったため。」という表題の下には、原告の主張するとおりの内容の記載があり、その中には、「結果として、患者を死亡させるという事態を引き起こした。」という記載があることが認められる。 この点につき、被告は、事案を全体として明らかにするために、事実経過として記載されたものにすぎないなどと主張する。しかし、本件命令書の「理由」欄中の「2 医事に関し不正の行為のあったため。」の項目の中に、「その副作用に対する適切な処置を行うことを怠り、結果として、患者を死亡させるという事態を引き起こした。」と明記されていることや、同項目全体の文脈からすると、「結果として、患者を死亡させるという事態を引き起こした。」いう事実は、「医事に関し不正の行為のあったため。」という処分理由の内容として、記載されたものであると解すべきであり、被告の上記主張は、採用することができない。 そうすると、被告は、本件処分の際に、原告の主張するように、「医事に関し不正の行為」の内容として、Cの死亡の結果も考慮したものと認めるのが相当である。 (2) そうだとすると、被告は、本件処分時に、医師法4条4号所定の「医事に関し不正の行為」に当たる事実として考慮した「結果として、患者を死亡させるという事態を引き起こした。」という事実を本件処分の適法性根拠事実として、本件訴訟において主張していないことになる。 原告は、この点を問題としているので、まず、取消訴訟において、被告が、処分時に処分理由として考慮した事実の一部を当該処分の適法性根拠事実として主張しないことが、許容されるか否かについて検討することとする。 (二)(1) 行政処分の取消訴訟における訴訟物は処分の違法一般であると解すべきであり、処分について定められた処分要件が充足されていないときは、当該処分は違法になるということができる。 したがって、行政処分の取消訴訟においては、当該処分について定められた処分要件の充足の有無が争点になるわけであり、この要件の充足をめぐって、当事者が主張を行うということになる。もっとも、実際の取消訴訟では、処分行政庁が処分時に認定していた事実関係の存否等が争われることもあるが、この点は、上記争点と重なり合う限度で意味のある争いにすぎず、これ自体によって、当該処分の適否が定まるものではないし、これが当該取消訴訟の争点であると理解することもできない。 また、行政事件訴訟法は、取消訴訟における被告の主張の制限に関して特段の規定を置いていない。そして、民事訴訟においては、ある事実を主張するかしないかは、当事者の任意である。 以上からすると、行政処分の取消訴訟において、被告が、処分時に処分理由として考慮した事実の一部を当該処分の適法性根拠事実として主張しないことは、許容されるというべきである。 (2) また、行政処分の処分要件や、処分要件の構成要素は、一個であるとは限らず、複数あることが珍しくないのであるから、たとえば、被告が、a、b、c及びdの事実が存在することを理由としてX処分を行ったと仮定した場合に、法令上、a及びbの事実又はc及びdの事実があることがX処分の適法要件又は適法要件を肯定させる事実であるのならば、取消訴訟において、被告が適法性を基礎付ける事実として主張したa、b、c及びdの事実のうち、a及びbの事実が認められなくても、c及びdの事実が認められるときは、これにより当該処分の適法性が肯定されるのであり、裁判所は、その処分を取り消すことはできないということになる。そして、このことは、被告が訴訟においてa、b、c及びdの事実すべてを主張した場合と、c及びdの事実しか主張しなかった場合とで、結論が異なるはずはない。 上記のことからも、被告において、処分時に処分理由として考慮した事実のうちから、訴訟において、あらかじめ、当該処分の適法性を基礎付ける根拠事実を絞り込んで、その一部のみを主張することは当然に許されるものというべきである。さらにいえば、適正かつ迅速に行政処分の取消訴訟を審理するためには、事案によっては、このような被告の主張の絞り込みがむしろ望まれることもあるのである。 (3) なお、本件のように理由付記が必要とされている行政処分については、付記理由の一部を取消訴訟において主張しないことが理由付記制度の趣旨に反するのではないかという点も問題とされるかもしれない。 しかし、一般に、行政処分に理由付記を要求する趣旨は、行政庁の判断を慎重にし、合理性を確保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えることにあると解される。 そうすると、被告が訴訟において主張する当該行政処分の適法性の根拠事実が付記理由中にも示されていた本件のような場合に、その付記理由にある事実の一部しか被告が訴訟において主張しないことは、付記理由において単に余分な主張も一部示し、ないしは多目に理由を示していたにすぎないのであるから、原則として、上記理由付記制度の趣旨に反することにはならないというべきである。なお、たとえば、付記理由において関連事実すべてをただ羅列していただけであるなど、もともと理由付記制度の趣旨に反するようなずさんな理由が付記されていたときなどには、被告が、取消訴訟において、理由を絞り込み、その一部しか主張していないとしても、理由付記の瑕疵を理由として、当該処分が違法とされることがあり得るであろうが、本件は、そのような事案に当たるということはできない。 (三) 以上のことからすると、被告が、行政処分の取消訴訟において、処分時に処分理由として考慮した事実の一部を当該処分の適法性根拠事実として主張しないことは、許容されるというべきである。 そうすると、被告が、本件処分時に「医事に関し不正の行為」の内容の一部として考慮した「結果として、患者を死亡させるという事態を引き起こした。」という事実を、本件訴訟において、本件処分の適法性根拠事実として主張しないことは、残された事実のみで本件処分の適法性を肯定し得るかという問題があることはもちろんであるが、それ自体としては、許容されるというべきである。 3 以上によれば、被告は、前記1(二)のとおりに本件処分の適法性根拠事実を主張しているのであるから、本件訴訟においては、この被告主張の事実が認められるか否かという点と、認められた事実によって本件処分の適法性を肯定し得るかという点について検討すべきであるり、かつ、これらを検討すれば足りるということができる。 したがって、原告の前記1(一)の主張は、採用することができない。 二 争点 以上を前提にすると、本件における争点は、下記のとおりである。 1 医師法4条4号所定の「医事に関し不正の行為」に当たる事実の有無 具体的には、Cに対する硫酸ビンクリスチンの過剰投与が判明した後、原告は、支持療法や拮抗剤の投与の検討、実施を行わず、救命専門家へ助力を求めるなどの適切な措置をしなかったのであり、「医事に関し不正の行為」があったということができるか。 2 本件処分が重きに失するか。 具体的には、医師法4条3号所定の「罰金以上の刑に処せられた」点に関し認定し得る事実及び争点1の同条4号所定の「医事に関し不正の行為」に関し認定し得る事実を前提として、医業停止期間を3年6か月間とする本件処分が処分の重さとして重きに失するか。 三 認定事実 前記前提事実に加え、証拠(甲1、乙2、7、12から15まで、22から30まで、32、35、39から45まで、48、証人D、原告本人)及び弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実を認めることができる。ただし、甲第1号証、乙第7、第30及び第43号証並びに原告本人の供述中には、下記認定事実に反する部分や認定をしていない部分があるが、それらの部分は、内容が不自然である上、他の証拠や容易に認定し得る事実関係とも整合しないので、採用することができない。なお、後記事実認定に関する補足説明参照。 1 診療態勢等 (一) 医療センターの耳鼻咽喉科では、患者を治療することが決まった場合、その患者を外来等で最初に診察した医師が、以後治療の必要性がなくなるまで、継続して主治医として担当するという慣例に従い、主治医が決められていた。 また、主治医が決まると、原則として、その主治医と同じ曜日に手術を行うことが決められている別の医師が、主治医と共に、その患者を担当することが自動的に決まり、さらに、研修医を1名加えて、当該患者に対する医療チームを編成することになっていた。そして、研修医を除く2名の医師のうち、経験の少ない者が主治医となる場合は、他方の医師は、指導医という立場でチームに参加することとなっていた。 (二) 医療センターの耳鼻咽喉科においては、科長に対する治療内容の報告及び科長の承認がなければ、手術及び手術以外の治療を実施することはできなかった。そのため、主治医その他の担当医が独断で診療や治療を決定して実施することは許されなかった。 具体的には、個々の患者に対する治療方針・治療方法は、まず、チーム内で決定されたが、それを最終的に実行するためには、毎週木曜日に医局員が参加して行われるカンファレンスで報告するか、又は個別に科長であるE教授に上申するかのいずれかの方法によって、E教授に報告し、その承認を得る必要があった。 2 滑膜肉腫と抗がん剤による治療 (一) 滑膜肉腫は、滑膜を発生母地とする非上皮性腫瘍(肉腫)であり、悪性の軟部腫瘍である。滑膜肉腫は、整形外科領域の悪性軟部腫瘍の中でもまれなものであり、頭頸部の発症例については、学会報告や研究は相当数があるものの、耳鼻咽喉科の医師が実際に経験することはほとんどないものである。 (二) 化学療法は、細胞を死滅させる機能を有する抗がん剤(抗悪性腫瘍剤)を、正常細胞は破壊されないが腫瘍細胞を破壊するに足りる量、あるいは正常細胞は修復しているが腫瘍細胞がいまだ修復していない間隔で投与するというものである。しかし、抗がん剤の投与により正常細胞も破壊され得るため、投与量及び間隔のコントロールを厳密に行う必要があるとともに、投与開始後においては、正常な体細胞の破壊の度合いを各種検査数値により正確に把握して、身体が受けるダメージを制御する必要があるものである。 VAC療法は、抗がん剤である硫酸ビンクリスチン、アクチノマイシンD及びシクロフォスファミドの3剤を組み合わせて行う化学療法で、アメリカの横紋筋肉腫治療研究グループ(以下「IRS」という。)が、横紋筋肉腫の治療法の一つとして、プロトコール(投与量と間隔を定めた投薬計画)を確立している。なお、Cのり患した滑膜肉腫は、本当は、横紋筋肉腫とは異なるものである。 (三) 硫酸ビンクリスチンは、抗がん剤の一つで、強い細胞毒性を有する薬剤である。そのため、医薬品の解説書や硫酸ビンクリスチンの医薬品添付文書においては、用法・用量として、成人については体重1kg当たり0.02ないし0.05mgを週1回静脈注射するものとし、副作用防止のため、1回の投与量は2mgを超えないものとすると記載されていた。 硫酸ビンクリスチンが投与されると、その細胞毒性による副作用として、白血球及び血小板の減少と貧血といった造血機能障害、知覚鈍麻、四肢運動障害、麻痺性イレウス(腸閉塞)といった神経障害が生じる。医薬品の解説書や硫酸ビンクリスチンの医薬品添付文書には、重大な副作用として、①神経麻痺、知覚異常、知覚消失、しびれ感、四肢疼痛、顎痛、めまい、言語障害、筋萎縮、運動失調、歩行困難、排尿困難が現れることがあり、これらの場合には、減薬又は投与を中止すること、②腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹痛、腹部膨満、腹部弛緩、腸内内容物のうっ帯等)から移行した麻痺性イレウスが現れることがあり、この場合には、投与を中止した上、腸管減圧等の適切な処置を行うこと、③アナフィラキシー様症状(じんましん、呼吸困難、血管浮腫等)が現れることがあり、その場合には投与を中止して適切な処置をすること等の記載がある。 (四) オンコビン(Cに投与された硫酸ビンクリスチンの商品名である。)の医薬品添付文書(乙25)には、3頁に、〔使用上の注意〕「8.過量投与」として、以下の記載がある。 「本剤の過量投与により、重篤又は致死的な結果をもたらすとの報告がある。支持療法として次の処置を考慮すること。 ①抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SLADH)の予防(水分摂取の制限及びヘレン係蹄や遠位尿細管に作用する利尿剤の投与) ②抗痙攣剤の投与 ③イレウスを予防するための浣腸及び下剤の使用(症例によっては腸管減圧を行う。) ④循環器系機能のモニタリング ⑤血球検査を毎日行い、必要であれば輸血を行う。 フォリン酸を本剤の致死量が投与されたマウスに使用したところ有効であったとの報告がある。また、フォリン酸がヒトにおいても本剤の過量投与の治療に有益であったとする症例報告もある。フォリン酸100mgを3時間ごとに8回投与し、その後は6時間ごとに少なくとも8回投与することが奨励されている。フォリン酸の投与は支持療法と併せて行う。本剤は透析液中にほとんど流入せず体外除去のための血液透析は有効ではない。」 (五) 原告は、平成8年末ころに、当時医療センターの医局員であったK医師が、横紋筋肉腫の患者に対し、硫酸ビンクリスチン等を投与した化学療法を行った際に、研修医として携わったことがあったが、そのプロトコールや、使用薬剤の特性を研究したことはなかった。また、原告が医療センターで担当する症例は、各種中耳炎、扁桃炎、副鼻腔炎(蓄膿症)等が主で、悪性腫瘍の治療経験は少なかった。 E教授もD医師も、VAC療法の経験はなく、硫酸ビンクリスチンを使用した経験もなかった。 3 術後化学療法の決定 (一) 原告は、平成12年9月8日、同月6日付けのCの病理検査の報告書に目を通したところ、そこに記載されていた「synovial sarcoma」(滑膜肉腫の意味である。)という病名を理解することができなかったが、その意味を調べることはしなかった。 そして、原告は、上記報告書の病理所見欄の冒頭に「横紋筋」という単語があったことから、外来で受診していたCの両親に対して、同月8日、「病名は横紋筋肉腫である。」と説明した。 原告は、その後、辞書で「synovial sarcoma」の意味を調べ、また、参考書で滑膜肉腫についての簡単な知識を得るなどして、同日夕方、電話で、Cの母に対し、病名が横紋筋肉腫ではなく滑膜肉腫であること等を伝えた。 (二)(1) Cは、埼玉県立がんセンターで医師の診察を受けたりしたが、CとCの両親は、平成12年9月18日、原告に対し、抗がん剤治療であれば、医療センターで治療をしてほしい旨の希望を述べた。 原告は、この申出を受けて、引き続きCの主治医として滑膜肉腫の治療に当たることになった。なお、それ以前に、Cに対する医療チームとしては、リーダーをD医師とし、主治医を原告が務め、それにH研修医が加わるという構成が決まっていた。 (2) 原告は、上記申出を受けて、平成12年9月18日、医局に、G医師とF医局長がいたことから、とりあえずCの治療方法について相談してみた。G医師は、原告に対して、「VACじゃないかな。」などと述べ、検討を勧めた。 原告は、このとき、VAC療法が化学療法であることの想像がついただけで、その適応症等については全く分からない状態であった。このため、原告は、さらに、G医師やF医局長に対し、VAC療法のプロトコールについて尋ねたが、分からないなどと言われたのみであった。 (三)(1) 原告は、平成12年9月18日、医療センターの図書室で「VAC」をキーワードとしてパソコンの検索システムにより検索を行ったところ、整形外科領域の論文等が数点表示された。原告は、図書室の整形外科関連の本棚から探し出した書籍である「新図説臨床整形外科講座13 骨・軟部腫瘍及び類似疾患」末尾の索引で「VAC」を探したところ、277頁(乙39(添付の資料5))に、横紋筋肉腫の項の中で、VAC療法のプロトコールである「図8 IRSの治療プロトコール」(以下「本件プロトコール」という。)が登載されているのを見付けた。 本件プロトコールは、表題である「図8 IRSの治療プロトコール」以外は、すべて英語で記載されたものであった。また、本件プロトコール自体は、横紋筋肉腫の患者をステージ別に分類した後にグループ分けし、それぞれ異なる治療方法を行って、その効果を比較するという、研究の内容を示すものであった。上記文献には、滑膜肉腫についての項もあったが、VAC療法の適応を述べる記載はなかった。 原告は、滑膜肉腫の項にも目を通したが、確立した治療法はないという記載から、滑膜肉腫にVAC療法を行うことについて特に疑問を抱かなかった。 (2) 原告は、本件プロトコールを見付けたことで、これでCに対し、VAC療法を行えばよいと考え、本件プロトコールを拡大コピーして入手した。 しかし、原告は、本件プロトコールの内容を熟読することなく、それまで原告が使用していたプロトコールがすべて日単位で記載されていたことから、本件プロトコールも同様であろうと思い込み、本件プロトコールが、1行目の数字に記載された日ごとに、各薬剤の投与を指示するものと誤解した。そして、本件プロトコールを参照として引用している本文を読むことも、英語による各記載の意味を調べることもせず、さらには本件プロトコールに記載されている「Group Regimen Week」との記載にも気付かず、また、本件プロトコールが作成された目的も理解しないまま、本件プロトコールの「A」の行の計画に従って(ただし、数字の表示については、日単位で)、同行に記載された薬剤を投与すれば良いものと考えた。 原告は、薬剤の投与方法さえ分かれば足りると考えていたことから、それ以上に、本件プロトコールの原典に当たることも、使用薬剤の特性や作用機序、副作用等を調査することもしなかった。 (四)(1) 原告は、平成12年9月18日から同月20日ころまでの間に、コピーした本件プロトコールを持って、D医師の下へ行き、本件プロトコールのコピーを渡すとともに、Cに対して、VAC療法を行うこと、本件プロトコールの「A」の行に従い、抗がん剤を投与することとし、硫酸ビンクリスチン2mgを12日間連続投与、アクチノマイシンD0.5mgを5回投与、シクロフォスファミド125mgを6日目から2年間毎日連続投与すること等を説明した。 これに対して、D医師は、見せられた本件プロトコールの内容や出典を確認することなく、原告の説明した方法による抗がん剤の投与を承認した。 (2) また、原告は、平成12年9月21日ころ、E教授に対し、Cに対して化学療法としてVAC療法を行いたい旨申し出た。 E教授は、悪性腫瘍に対する化学療法としてVAC療法という治療法があるという一般知識を持っていたことのみから、具体的な治療計画の内容を確認しないまま、原告の申出を承認した。 (3) このようにして、原告は、Cに対し、平成12年9月25日の入院以降、VAC療法として、硫酸ビンクリスチンを12日間連続、アクチノマイシンDを治療開始日、12日目、22日目、36日目に、シクロフォスファミドを6日目から2年間毎日、そえぞれ投与することを決定した。 4 硫酸ビンクリスチンの過剰投与の判明前までのCに対する治療 (一) 平成12年9月25日 Cが医療センターに入院した。原告は、同月28日以降に、前記各抗がん剤の投与を開始することとし、前記のとおりの誤った内容で医師注射指示伝票を作成するとともに、コピーしたカレンダーに、同日以降に投与すべき各抗がん剤と血液検査の予定を記入してカルテにつづった。また、原告は、H研修医に対し、Cに対する投薬及び検査の日程を説明した。 (二) 平成12年9月26日 Cは、血液検査を受検した。原告は、Cの血液検査に特に異常がなかったことなどから、翌27日に予定していた尿検査の結果を待たずに、翌27日から抗がん剤の投与を開始することとし、医師注射指示伝票をもう1枚作成するとともに、カレンダーに記載した予定を書き換えた。また、原告は、朝の注射や点滴等を担当していたI研修医に対し、翌27日からCに対し、毎日硫酸ビンクリスチンを注射するように指示した。 (三) 平成12年9月27日 (1) 原告は、I研修医に対し、硫酸ビンクリスチンの投与方法を説明し、自ら溶液を作るとともに、I研修医にも溶液を作らせた。そして、原告は、アクチノマイシンDの溶液をCの側管から注射するとともに、I研修医にも、同様に、硫酸ビンクリスチンの投与を行わせた。 (2) 午前中、L看護師(以下「L看護師」という。)は、原告の作成した医師注射指示伝票の内容が、1日2mgの硫酸ビンクリスチンを毎日投与することになっていることに気付いた。L看護師は、小児科病棟における勤務の経験から、上記指示伝票の内容に疑問を抱き、原告に対し、投与量及び連日投与の指示に間違いがないかを尋ねた。これに対し、原告は、L看護師の質問に何ら疑問を抱かず、「そうだよ。」などと答えた。原告は、医薬品添付文書をカルテにとじておくという耳鼻咽喉科の慣習に従い、L看護師から受け取ったオンコビン(硫酸ビンクリスチンの商品名である。)の医薬品添付文書をCのカルテにとじたが、これに目を通すことはしなかった。 (3) Cは、看護師に対し、若干の食欲の低下を訴えた。 (四) 平成12年9月28日 (1) I研修医は、Cに対し、予定どおり、硫酸ビンクリスチンの注射を行った。また、Cに対し、吐き気止めの投与も行われた。原告は、Cの食欲不振の訴えを認識したが、吐き気はそれほどでもないと観察した。同日、Cの全身状態は、悪くなかった。 (2) 午後、毎週恒例のカンファレンスが行われ、原告がCに対する治療経過として、Cが平成12年9月25日から入院していること、化学療法としてVAC療法を行っていることを、E教授を始めとする医局員らに説明した。しかし、カンファレンスでは特段の意見や質問は出ず、結局、Cの病状や治療法に対する検討は、原告の上記説明だけで終わった。 (五) 平成12年9月29日 H研修医は、Cに対し、硫酸ビンクリスチンの注射を行った。Cは、H研修医に対し、怒った様子で、「だんだんムカムカしてきました。」と訴え、また、顔色も悪かった。しかし、吐き気は見られず、元気な様子を見せていた。 (六) 平成12年9月30日 Cは、気持ちが悪い旨看護師に訴え、また、顔色も悪かったが、I研修医は、予定どおり、Cに対し、硫酸ビンクリスチンの注射を行った。Cは、微熱を出すとともに、舌がはれている感じがする旨看護師に訴えた。また、この日、血液検査が行われたが、血小板数が、同月26日の19万2000個(血液1立方ミリメートル当たり。以下単位同じ)から13万6000個に減少していた。 なお、原告は、終日、派遣先である他の病院へ勤務に出ていたため、医療センターには出勤しなかった。 (七) 平成12年10月1日 (1) Cは、朝、吐き気を訴えたが、原告は、自ら、Cに対し、硫酸ビンクリスチンを注射した。 (2) 原告は、午後、CとCの両親に対し、病状及び治療状況等の説明を行ったが、Cは、気分不良を訴え、説明を座って聞くことができず、原告の説明を最後まで聞かないうちに、車いすで病室に戻った。 (3) Cは、足が思うように動かない様子で、手洗いに行くにもふらつくようになり、身体の痛みを訴えた。 (八) 平成12年10月2日 (1) I研修医は、Cに対し、硫酸ビンクリスチンを注射した。また、この日、シクロフォスファミドの経口薬も投与された。 (2) Cは、H研修医に対し、「かなりつらい。起きあがれない。」と訴えた。Cは、体温37.8度で、吐き気はないものの顔色は悪く、のど、口腔内及び下顎部の痛み、全身関節痛、食欲の低下、強い全身倦怠感、手指のしびれが見られた。しかし、原告は、前日同様、抗がん剤の通常の副作用であろうと考えただけであった。 (九) 平成12年10月3日 (1) I研修医は、Cに対し、硫酸ビンクリスチンを注射した。 (2) Cの全身倦怠感やしびれ、四肢末梢の痛みは更に強くなった。Cは、午後1時ころには、歩くことができなくなり、手洗いには車いすで行くようになった。食欲不振に加え、咽喉・口腔内の痛みのため、食事の摂取はさらに困難になった。体温は37度ないし38度であった。 (3) 原告は、午後2時ころ、血液検査を見て、血小板数が、6万9000個に下がっていたことや、首や下肢に出血傾向を示す点状出血が現れていたことから、硫酸ビンクリスチンの投与を一時中止することを決めた。原告が午後3時ころ、再度血液検査をしたところ、血小板数は、さらに下がって5万1000個になっていたことから、血小板輸血を行った。しかし、原告は、Cの各症状が単なる副作用であろうと考えただけで、自らの投与計画が誤っているとは考えなかった。 (4) 原告は、午後5時ころ、Cの両親に対し、硫酸ビンクリスチンの投与を一時中止する旨伝えた。原告は、Cの両親から投与を7日間でやめて良いのかと聞かれ、「規定量は入っているから良い。」などと説明した。 (5) D医師は、それまで夏休みを取っていたこともあり、5日ぶりにCの様子を見て、抗がん剤の副作用が強く出ていると思った。D医師は、原告に対し、「大丈夫なのか。」と尋ねたが、原告が「抗がん剤の副作用です。もう薬は中止しました。」などと答えたため、それ以上の疑問を抱いたり、処置を検討したりはしなかった。 (一〇) 平成12年10月4日 (1) Cは、未明から、腰痛、肩凝り、顔面のしびれのほか、呼吸が苦しい旨を訴えた。Cは、食事をとることができなかった。原告は、胃にチューブを入れて、濃流動食を流し込む処置をした。しかし、硫酸ビンクリスチンの副作用である麻痺性イレウスの可能性を前提とすると、胃に流動食を流し込むのは誤った措置であった。 Cは、胃痛や腹満苦、下腹部の痛みを訴え、腹部が硬くなるなどした。また、正午ころになっても朝から尿が出ていなかったことから、H研修医は、バルーンを挿入した。 (2) 午後1時40分ころ、血液検査の結果が判明したが、それによると、白血球数が400個(血液1立方ミリメートル当たり。正常値は5000個ないし8000個。以下単位同じ。)、炎症を示すCRP値が6.9、CPKが1531と異常値を示していた。H研修医は、感染症の危険が高いと判断したが、原告やD医師が手術中であったため、F医局長に指示を求め、白血球数を増加させる薬剤であるグランを投与した。また、感染症防止策として、抗生剤を変更したほか、一般の個室に消毒措置等を施して準クリーン室とし、Cを移動させた。ただし、感染症防止のためには、専用の空調を備え、1立方インチあたりのダスト数が400程度の無菌室に入室させる必要があるところ、医療センターには無菌室がなく、ダスト数が1000程度であったICUが準無菌室として使用されていた。なお、病室のダスト数は、10000程度の手術室のダスト数よりも更に高いものであった。 Cは、再度血小板輸血を受け、摘便や浣腸も受けた。体温は39.8度に上昇し、体熱感やふらつきを訴えた。 (3) H研修医から外来診療を依頼された第一内科の医師は、触診で硬便があり、便による腸管閉塞の可能性があるとして、摘便と下剤投与を継続した上、便通のコントロールがつくまで食事を中止する必要があると診断した。Cは、摘便を受けたが、その後、下痢になった。 (4) D医師は、この日、Cの様子を見に行かなかったが、Cの病室の前を通ったとき、内科の医師がCを診察しているのを見かけた。D医師は、原告に対し、「量を間違っていないか。」と尋ねたところ、原告は、何ら確認することなく、間違いないと答えた。 (5) 午後11時ころ、Cの体温は39.8度であり、腹が張る感じを訴えた。医師の指示で導尿を行い、100mlの排尿があったが、腹満感は同様であり、この日の尿量は250mlで、前日の2100mlから極端に減少した。 (一一) 平成12年10月5日 (1) Cは、午前1時ころ、吐き気が見られた。Cは、頸部が膨張して点状出血が増大し、午後7時ころには体温が40.6度に上昇した。Cは、全身の倦怠感と痛み、体熱感、腹満感があり、足がしびれて立つことも困難で、意識ももうろうとしていた。また、呼吸数が1分間に56回まで増加し、午後1時30分ころ、酸素の投与が開始された。 (2) 原告は、G医師から、第2内科のM医師に、Cの症状の対策を聞いてくるように指示され、M医師に対し、VAC療法を行っている患者であることのみを説明して、対策を相談した。M医師は、原告に対し、体温の上昇については解熱剤を使用せず、クーリング(強制的に冷やすこと)のみとすること、白血球減少に対してはグランを投与すること、血中ヘモグロビン値は投薬により維持すること、血小板については再検査の上輸血を検討すること、血中ナトリウム、カリウム等については輸液で維持すること、炎症反応については抗生剤を投与すること等を指示した。 (3) 夕方になると、Cは、下痢便を失禁するようになり、嘔吐も継続した。血液検査が実施されたが、CPKは測定されず、白血球数は300個、血小板数は5万7000個であり、カリウム値等の電解質が異常を示し、CRPも18.9と高値を示した。チアノーゼが見られ、脈拍も190近くまで上昇した。 (4) Cは、意味不明の言動が見られるようになった。 (5) なお、D医師は、終日、別の患者の手術等を行っていたため、Cをみなかった。 (一二) 平成12年10月6日 (1) 午前0時40分ころ、Cの両鼠径部、両腋窩、腸骨部に潰瘍が発見された。Cの上半身には発赤疹があり、両下肢には出血班様の発疹が出、口唇や爪にはチアノーゼが生じ、次第に悪化した。Cは、普通に会話ができることもあったが、意味不明なことを言うようになり、苦痛を訴えて手足を激しく動かしたりした。 (2) 午前4時ころには、当直のN医師が診察したところ、酸素飽和度は90パーセントに低下し、体温は39.8度で、意識はもうろうとし、心拍数は上昇していた。N医師は、血液検査を行うとともに、第2内科のO医師の往診を求めた。 O医師は、Cの症状から、敗血症、腸炎、薬品アレルギー、重症感染症、横紋筋融解症の疑いがあるとし、便培養、皮膚科の受診、肝臓の超音波検査等を指示したので、同席していた原告は、O医師の指示に従ってそれぞれ処置を行った。 (3) Cは、午前7時ころには、呼び掛けに反応しなくなり、呼吸も努力様となったため、人工呼吸器による管理が開始された。また、午前10時ころには、無尿状態となった。また、鎮静処置が施行され、強心剤が投与された。 (4) 正午ころの血液検査の結果、CPKは91080、CRPは27.2、白血球数は400個、血小板数は7万2000個であった。 (5) 午後1時ころ、Cに対し、腹部超音波検査が実施された。その結果、胆嚢から子宮にかけて腹水があったため、穿刺が試みられたが、吸引することはできなかった。 (6) 午後2時ころ、第4内科の医師が、Cに対し、人工透析を実施するため、鼠径部の血管に針を刺したところ、Cの心臓が停止した。これに対し、心臓マッサージや強心剤の投与が行われた結果、蘇生した。 5 硫酸ビンクリスチンの過剰投与の判明後のCに対する治療等 (一)(1) D医師は、平成12年10月6日午後4時ころ、第2内科のM医師から、プロトコールがおかしいのではないかとの指摘を受けたことから、G医師、原告と共に、本件プロトコールを検討することとした。しばらく3人で本件プロトコールを見ていたところ、G医師が「1年は何週だっけ。」と言ったことから、本件プロトコールの投与頻度が、日単位ではなく週単位による記載であることが初めて判明し、同日午後5時ころ、ようやく、原告等は、硫酸ビンクリスチンを過剰投与したことに気付いた。 ここに至って、原告、D医師及びG医師は、やっとCの容態が改善しない原因を理解した。しかし、原告及びD医師を始めとした医局の医師らは、硫酸ビンクリスチンの過剰投与の対策として、Cにどのような治療を行えば良いか分からなかった。 (2) 原告は、D医師に対し、過剰投与の事実をCの両親に告げるべきかを相談したが、D医師は、原告に対し、「まだ、いいだろう。」などと言った。 D医師は、原告等に対し、とにかく全力でCの治療に当たるようにと指示した。なお、D医師は、このとき、原告に対して、「過剰投与による副作用の対策は、Dらが行う。」、「とにかくAは病室に戻ってCさんの治療に当たれ。」などとは言わなかった。 (二)(1) 硫酸ビンクリスチンの過剰投与が判明した平成12年10月6日午後5時時点より前において、Cの全身状況は相当に悪化していた。そのため、Cに対しては、一般的には、感染症対策、輸液管理及び呼吸管理等の全身管理が必要な状況であり、救命救急等の専門家により、ICU等において、全身管理による治療をすべき状態であった。 しかし、原告及びD医師を始めとした医局の医師は、その後も救命救急の専門家の助力を求めなかった。 原告は、研修以外で、救命救急措置を行ったことはほとんどなかった。医療センター救命救急セン